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雨に濡れた屋外スペースに停められている、納車前のワインレッドの新車
コラム

納車日が雨でもコーティングは大丈夫?受け取り当日にやること・後回しでいいこと

新車の納車日が数日後に決まって、天気予報を見たら雨だった。コーティングはディーラーでは付けず、受け取ったあとに専門店へ出すつもりでいる。この記事は、ディーラーのコーティングを付けずに新車を受け取る場合の話です。納車時にすでにコーティングが施工された状態で受け取った方は、カーコーティングのメンテナンスキットとメンテナンス剤をご覧ください。手元に渡された剤を今日使うかどうか、という別の判断から始まります。

もう1つ、先に切り分けておきます。コーティングを施工したあとの養生期間に雨に降られた場合は、被膜が固まりきる前の出来事なので、対処がまったく別になります。そちらはセラミックコーティングの硬化時間はどれくらい?完全硬化までの流れと養生期間の過ごし方で扱っています。この記事が相手にしているのは、塗装の上にまだ何も載っていない状態の車です。同じ「雨」でも、被膜があるかないかで判断が入れ替わります。

納車日の雨は、受け取りを延ばす理由になるか

雨が当たって水の膜に覆われたワインレッドのボンネット。反射が均されて塗装面の状態が読めない

結論から書きます。天気だけを理由に受け取りの日程を動かす必要は、基本的にありません。雨そのものが塗装を傷めるわけではなく、問題になるのは水が乾いたあとに面へ残るものだからです。雨水にも水道水にも、わずかにミネラル分や空気中の粉じんが含まれています。水滴が残ったまま乾けば、含まれていたものだけが輪の形で面に置いていかれます。逆に言えば、降っていること自体は避けるべき状態ではありません。

そして、日程を後ろにずらしても、この条件は良くなりません。受け取りを遅らせたぶん、その車はディーラーの敷地で待つことになります。屋根の下に入るとは限らず、濡れて乾く回数はむしろ増えます。晴れの日を待つという判断は、車の置かれる場所を考えると打ち消し合ってしまいます。

日程をずらす判断に意味が出るのは、天気予報ではなく段取りのほうを見たときです。受け取ったあとすぐ屋根のある場所へ入れられるか。引き渡しのときに、外装を落ち着いて確認できるだけの時間を取れるか。この2つが確保できない日であれば、天気に関係なく日をずらす価値があります。雨は理由になりませんが、時間が取れないことは理由になります。

納車日より前に、その新車はすでに何度か濡れて乾いている

納車日の天気を気にする前提には、「その日まで車は無傷で無垢な状態に保たれている」という暗黙のイメージがあります。実際の経路をたどると、そこは少しずれます。組み立てられた車は、キャリアカーや船で運ばれ、中継のヤードに置かれ、販売店に着いてからも敷地で保管されます。店頭に並べば、展示されている時間そのものが屋外にいる時間です。この経路のどこにも、雨に当たらない保証はありません。

つまり、納車日が晴れかどうかは、その車の塗装のコンディションを決めている要素のごく一部にすぎません。花粉や黄砂の季節をまたいでいれば、それらが乗って乾いた回数も数えられないほどあります。新車の塗装は、工場を出た日の状態のまま届くわけではないのです。

これは、新車の質が低いという話ではありません。専門店が新車にも下地を見る工程を置いているのは、この「届くまでの時間」があるからです。当店でも、新車として持ち込まれた車をそのまま塗るということはせず、照明の下で面の状態を見るところから始めます。納車日の天気1日に神経を使うより、受け取ってからの過ごし方のほうが、結果としてはるかに効きます。

濡れたボディでは、引き渡し時の外装チェックが成立しない

雨の日の受け取りで、本当に不利になるのはここです。水膜が乗った面は光を均してしまうため、乾いていれば見えるはずの線や差が見えなくなります。水は面の微細な凹凸を埋めて、光をまっすぐ返す方向に働きます。濡れた車がきれいに見えるのは気のせいではなく、光学的にそうなっているだけです。

そのため、雨の中で「外装に問題ありませんでした」と確認したことは、確認になっていません。見落としやすいのは次のようなものです。

  • 細かい線傷(輸送中・保管中に付いたもの)
  • 塗装面の艶やムラの、面ごとの差
  • 輸送用の保護材を剥がした跡、テープの糊残り
  • 保護フィルムが貼られていた境目に出る、拭き跡のような筋

雨の日に受け取ったのであれば、外装の確認は後日に回すのが正解です。やり方は単純で、乾いた状態にしてから、光の角度を変えて見る。屋内であれば自分が立つ位置を変える、屋外であれば時間帯を変えて、光が斜めから当たるタイミングに見る。正面から見て何も見えない面でも、角度が変わった瞬間に線が浮くことがあります。当店がLED照明を角度を変えて当てられるように設備を組んでいるのも、ヘアライン1本が「見える角度」でしか見えないからです。

気になる箇所が見つかったら、その場で触らず、日付と一緒に写真を残しておきます。あとから相談するときに「いつの時点であったのか」が言えるかどうかで、話の進み方が変わります。

雨の中で受け取った日、ボディに手を出す範囲はどこまでか

受け取った当日にやることは、思っているより少なくて構いません。この日は車に何かを足す日ではなく、車の状態を確かめて記録しておく日です。順に見ていきます。

屋根のある場所に入れられるなら、それが最優先

いちばん効くのは、濡れた状態のまま置かれる時間を短くすることです。屋根のある駐車場、あるいは風の当たらない場所へ入れられるなら、その1手で当日の判断はほぼ終わります。

水平面に残った水滴は、そのまま乾かさない

ボンネット・ルーフ・トランクのような上を向いた面は、水滴が留まりやすく、そのまま乾きやすい場所です。水に含まれていたミネラル分が輪の形で残ると、いわゆる水シミの出発点になります。落とせるうちに水滴を面から取り除いておく、という一点だけで十分です。

今日やらなくていいこと

まだ被膜が一枚も載っていないぶん、この時期には「触ってはいけない」という制約がほとんどありません。養生期間中の車のように、薬剤が使えない・拭き方に注意が要るといった縛りがない状態です。制約が少ないからこそ、焦って何かをする必要もありません。気になった箇所を指でなぞって確かめる、汚れを見つけて乾いた面をこする、といった動作だけは避けておきます。

納車から施工日までの「まだ何も載っていない塗装」で進むこと

受け取ってから専門店で施工するまでには、数日から、予約状況によってはもう少し間が空きます。この期間の特徴は1つだけです。付いたものが、被膜というクッションを挟まずに塗装のクリア層へ直接乗るということです。

直接乗ると何が変わるかというと、落としやすさが時間とともに落ちていきます。乗っただけの状態なら水で流せるものが、乾いて固まり、面に食い込んでいきます。鳥のフンや虫のように成分が酸性・アルカリ性に偏ったものは、放置した時間の分だけ跡が残りやすくなります。冬に受け取る場合は、路面にまかれた融雪剤が付いたまま乾くこと、朝に凍結した水滴が日中に溶けて同じ場所で乾くことも、同じ理屈で効いてきます。

この期間に何かを足す必要はありませんが、放っておけばいいという話でもありません。固着したものが増えるほど、施工前の下地づくりで落とす工程が増えます。工程が増えれば、その車にかける手順と段取りが変わります。間が空くこと自体が悪いのではなく、空いた分のコストが下地づくり側に移動する、という捉え方が実態に近いはずです。

では施工日をいつに置くのが良いのか、という問いになりますが、それは新車のコーティングそのものの判断なので、新車コーティングは必要?種類・タイミング・専門店で施工するメリットのほうで扱っています。この記事では、置いた日までの過ごし方だけに絞ります。

その新車に、納車前整備で何が塗られ、何が剥がされたのかを聞いておく

乾いたあとのワインレッドのボンネットに斜めから光を当て、塗装面の状態を確認しているところ

受け取りの日にできて、しかも後から取り返しにくいことが1つあります。その車の外装に、店の側がすでに何をしたのかを聞いておくことです。時間にすれば数十秒の質問ですが、これが分かっているかどうかで、施工店側の段取りが変わります。

新車は、工場を出てから店頭に並ぶまでのあいだに、いくつか外装へ手が入っています。輸送中の傷みを受け止めるために塗られるもの、貼られるもの、そして引き渡し前の仕上げ。いずれも外から見ただけでは残っているのか落とされたのか判別できないものが多いのが厄介なところです。透明な保護剤は、乾いてしまえば素の塗装面と区別がつきません。

聞いておく内容は、次の3つで足ります。

  • 輸送用の保護剤(ワックス状のものを塗る場合があります)が使われていたか、落とす作業まで済んでいるか
  • 保護フィルムやシート、テープが貼られていた箇所はどこか。剥がし残りや糊の残りがないか
  • 引き渡し前の整備で、簡易的なコーティングやワックスの類を施工していないか(サービスとして含まれていることがあります)

なぜこれが効くのかというと、専門店の下地づくりは「塗装面をむき出しの状態に戻す」ところから始まるからです。上に何が載っているかが分かっていれば、落とす手段の見当が先に付きます。分からなければ、実車を見て何が載っているのかを読むところから始めることになります。当店では明るい照明の下で面を確認しながら工程を決めていますが、事前に情報があるほど、その確認は早く正確になります。

もう1つ、聞いておくと引き渡しの日の見どころが決まります。フィルムやテープが貼られていた箇所は、境目に跡が出やすい場所です。どこに貼られていたかを知っていれば、乾いてから確認するときに見る順番が決まります。

なお、ここまでは「専門店に出す」前提で書いてきましたが、そもそもディーラーで付けて受け取るという選び方もあります。工程の中身がどう違うのか、どちらに頼むかをこれから決める段階であれば、カーコーティングはディーラーと専門店どっちがいい?品質・工程の違いのほうが判断の材料になります。決めきれていない状態で納車日を迎えたとしても、受け取ってから選び直すことはできます。

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