コーティング前の洗車は自分でやるべき?下地づくりの分担と預かり日数の考え方
コーティングの予約を入れたあと、「洗ってから持っていったほうがいいのだろうか」と迷う方は少なくありません。あわせて多いのが「何日預けることになるのか」という質問です。
この記事では、施工前の洗いを自分と店でどう分担するかと、そこから決まる預かり期間の考え方を扱います。研磨(ポリッシャーを使う工程)そのものの技術的な話はカーコーティングの研磨とは?、施工が終わって車が戻ってきたあとの洗車はコーティング後の洗車はいつから?の担当です。
ふだんの洗車で落ちないものが、コーティング前だけ問題になる

日常の洗車は、砂やホコリといった「載っているだけの汚れ」を落とすのが目的です。見た目がきれいになれば役目は果たしています。
ところがコーティング前の洗いは、目的が変わります。落とす対象は、日常の洗車では残ってしまうもの——塗装に刺さった鉄粉、固着した水シミ、そして目に見えない油分やワックス成分です。これらが残ったままだと、コーティング剤は塗装ではなく「その残ったもの」の上に乗ることになります。
つまり施工前の洗いは、きれいに見せるための作業ではなく、塗装面をむき出しの状態に戻すための作業です。ここが日常の洗車といちばん違う点で、自分でどこまでやるべきかという問いの答えもここから出てきます。
自分で洗ってから持ち込むべきか——手を出してよい範囲と、やらないほうがいいこと
結論から書くと、軽く洗ってから持ち込むのは有効ですが、下地づくりまで自分でやる必要はありません。むしろ手を出さないほうがよい作業があります。
| 内容 | 理由 | |
|---|---|---|
| やってよい | 流水とシャンプーでの通常の洗車 | 泥や砂が多いほど、店側の作業が「汚れ落とし」から始まってしまう |
| やってよい | 足まわりや下回りの泥を流しておく | 作業中に飛散して塗装面に回るのを減らせる |
| やってよい | 車内の私物を降ろしておく | ドア周り・給油口など細部の洗浄がしやすくなる |
| やらないほうがよい | コンパウンドで気になる傷を消しておく | 削った量が分からなくなり、店側が残量を読めなくなる |
| やらないほうがよい | ワックスや撥水剤を塗っておく | 脱脂の手間が増えるだけで、施工の役には立たない |
| やらないほうがよい | 鉄粉除去剤・強酸性のスケール除去剤を使う | 放置時間や希釈を誤ると塗装側にダメージが残る |
とくに「良かれと思って先に磨いてしまう」ケースは注意が必要です。塗装のいちばん外側にあるクリア層は磨くたびに減っていくため、施工前にどれだけ削られたのかが分からないと、店側は安全側に寄せた提案しかできなくなります。
また、持ち込みの直前に洗う必要もありません。前日に洗っておけば十分で、当日の朝に急いで洗うと、乾ききらないまま入庫することになります。ドアの隙間や給油口の内側に水が残っていると、作業の最初に水抜きの時間が入ってしまいます。雨の日の入庫は問題ありません。屋外の泥はねだけ流していただければ十分です。
油分と鉄粉が残ったまま塗ると、被膜はどこに定着するのか
下地づくりを飛ばした場合に何が起きるかは、はっきりしています。コーティング剤は塗装面と結びつくのではなく、その上に残っている層と結びつきます。
結果として次のような形で表れます。
- 本来の耐久年数より早く艶が引いていく(土台ごと剥がれるため)
- 鉄粉が刺さっていた箇所が、被膜越しにブツとして残る
- 油分が均一でなかった面だけ、水の流れ方が違ってくる
- 固着した水シミが被膜の下に閉じ込められ、あとから削って直せなくなる
被膜は乗せてしまうと、その下にあるものを固定してしまいます。施工前に取り切れなかったものは、被膜の寿命のあいだそのまま残ることになります。専門店が施工そのものより前の工程に時間を割くのは、ここに理由があります。
預けたあとの細部洗浄・鉄粉除去・脱脂は何をしているのか
車を預けたあと、コーティング剤を塗るまでに何が行われているのかは、外からは見えにくい部分です。順を追うとおおむね次のようになります。
細部洗浄
エンブレムの外周、ドアの合わせ目、給油口の内側、ホイールの奥といった、日常の洗車では手が届かない箇所を先に落とします。ここを残したまま作業を進めると、あとから汚れが染み出して塗装面に回ります。
鉄粉除去
ブレーキダストや線路・工場由来の鉄粉は、塗装に刺さった状態で錆びていきます。専用の薬剤で浮かせ、粘土状のクリーナーで物理的に取り除きます。手で触ってざらつく面は、たいていここで変わります。
水シミ・油膜の除去と脱脂
ミネラルが輪状に固まった水シミは、洗剤では落ちません。専用剤で緩めてから対処します。最後に溶剤で油分とシリコン成分を飛ばし、塗装面を何も載っていない状態に戻します。
なお、この段階で傷やくすみをどこまで削って整えるかという判断は、研磨の記事で扱っている領域です。当店では強い光を当てて面ごとに状態を確認し、削る量を決めてから作業に入ります。
水道水ではなく純水で洗う理由
洗いの工程で見落とされがちなのが、使う水そのものです。水道水にはカルシウムやマグネシウムといったミネラル分と塩素が含まれており、乾くとそれが白い跡として塗装面に残ります。
日常の洗車であれば拭き上げれば済む話ですが、施工前は事情が違います。せっかく脱脂した面に、洗いの最終段階でミネラル分を置いていくことになるからです。
ジャパンオートサービス株式会社では塩素除去装置を導入し、純水で洗浄しています。目的は艶を出すことではなく、下地づくりで取り除いたものを、最後にまた載せてしまわないことにあります。
車を何日預けることになるのか——預かり日数が読めない理由

「何日かかりますか」という質問には、正直なところ、車を見る前に答えを出すことができません。日数を決めているのは次の4つで、どれも事前には確定していないためです。
| 日数を左右するもの | なぜ変わるか |
|---|---|
| 車の状態 | 鉄粉や水シミの固着具合、傷の深さと分布で、下地づくりに必要な工程数が変わる |
| 施工するプランの層数 | 層を重ねる仕様は、1層ごとに塗って落ち着かせる工程が入る |
| 気温と湿度 | 被膜が固まる速さは季節で動く。詳しい仕組みは硬化時間の記事を参照 |
| 予約の状況 | 1台ずつ仕上げる体制のため、前の車の進み方に影響される |
当店では事前に納期を決め打ちせず、照明の下で車の状態を確認しながらお客様と相談して日程を決めています。先に日数を固定してしまうと、その枠に収めるために工程を削る判断が生まれてしまうためです。代表の馬場俊一が1台ずつ全工程を担当し、必要な分の日数をかけて仕上げます。
もうひとつ知っておいていただきたいのが、引き渡しの日がゴールではないという点です。車が戻ってきてからも、被膜が落ち着くまでは洗い方を変える期間が続きます。その過ごし方は施工後の洗車の記事にまとめました。
預ける前に決めておくと段取りが早い3つのこと
日数そのものは車を見てから決まりますが、以下を先に整理しておいていただけると、初回の打ち合わせで具体的な日程まで詰められます。
- 車がない期間をどこまで許容できるか(通勤で毎日使うのか、週末だけか)
- この施工までに、どこかで日程が固定されている予定があるか(納車日・車検・遠出の計画など)
- どこまで戻したい仕上がりを望むか(気になる面だけ整えるのか、全体を均一にしたいのか)
3つ目はとくに日数に直結します。「全体を均一に」と「目に入る面だけ」では、下地づくりにかける工程数が変わるためです。ご予算とあわせてお伝えいただければ、日数を含めた現実的な組み立てをご提案できます。
納車前の新車や、車検・車の引き渡しと日程が重なる場合は、販売店側のスケジュールとの前後関係も出てきます。ご予約の段階でお伝えいただければ調整できます。費用の目安についてはカーコーティングの費用相場と料金表の読み方をご覧ください。
まずはお気軽にご相談ください
「どのコーティングが自分の車に合っているか分からない」「料金の目安を知りたい」など、小さなご相談でもお気軽にどうぞ。車種・コンディション・ご予算をお聞きし、最適なプランをご提案します。